ライフネット生命保険株式会社

ライフネット生命の取り組み
~のぶゑさん×ライフネット生命若手社員~

登場人物紹介

●益井/ライフネット生命保険株式会社
●山田/ライフネット生命保険株式会社
●三浦 暢久(あなたののぶゑ)/九州レインボープライド 実行委員会代表

(右から時計回りに のぶゑ、益井、山田)

  • のぶゑ
  • 今日はよろしくおねがいします。ライフネット生命のダイバーシティチームに参加されている若手のおふたりとの対談ということで楽しみです。ライフネット生命さんとはもう5年ほどのお付き合いで、直近では創業者の出口治明さん(現APU学長)にも講演してもらいましたが、改めて、ライフネット生命はLGBT関連で何に取り組んでいる会社ですか?
  • 益井
  • 今日はよろしくおねがいします。当社は、生命保険業界で先駆けて、死亡保険金の受取人に同性パートナーを指定できる取り扱いを開始しました。これまでは死亡保険の受取人は婚姻関係、血縁関係、一部の事実婚関係の方のみに限られていたのですが、2015年11月にその範囲を同性パートナーに拡大しました。当社の行動指針として掲げているマニフェストには「多様性を尊重する」という言葉があり、この施策は当社のマニフェストの現れだと思っています。また、ライフネットジャーナルというオウンドメディアでもLGBT関連の発信を続けています。そういった一連の取り組みは外部からも高い評価を頂いていて、2016年からはwork with PrideのPRIDE指標で最高評価のゴールドを連続で獲得しています。
  • のぶゑ
  • 当時、ライフネット生命さんのニュースを見たときに衝撃を受けました。渋谷区の同性パートナーシップ証明書の発表の直後でしたね。全国の当事者も同じように感じたのではないでしょうか。過去にいくつかの保険会社さんから実施は難しいと聞いていたのでニュースを見た当時はすごく驚きました。今年は施策がはじまってからちょうど5周年ですね。
  • 益井
  • はい、社内では2012年頃から検討をしていましたが、前例がないということで簡単ではなく、LGBT関連の有識者や当事者の方などに何度もヒアリングを行い、様々な検討を行い2015年に実現に至りました。当社のマニフェストの体現となった思い入れの強い施策です。
  • のぶゑ
  • お二人は2015年当時はまだ入社されていなかったと思いますが、入社されてみて、どう思いましたか?
  • 山田
  • 僕は新卒入社で現在3年目です。この施策については会社説明会で聞いていて、社会に必要とされていることをやっている会社だなと入社前から共感を覚えていました。実際に入社して、当時この施策を中心になって推し進めていた現社長の森やほかの社員の話を聞くと、改めて熱い思いがあったからこそ実現が叶った施策だと知ることができました。保険は制約も多くなかなかリスクを取りにくい分野なので、そこを切り開いたことは自社ながらすごいことだなと思います。
  • 益井
  • 私の前職は病院勤務でしたが、古い体質の職場からライフネット生命に来ると先進的なことをしていると感じます。LGBTは言葉だけを知っていたくらいの知識でしたが、実際にマニフェストに触れたり社長から直接話を聞いたりすると胸が熱くなります。前職の病院で患者さんの中に当事者の方もいたかもしれないと思うと、十分なケアが出来ていなかったのではと恥ずかしくも思います。
  • のぶゑ
  • この5年間で社内の反応や変化、影響はありましたか?
  • 益井
  • 社内研修は毎年全員参加必須でやっていて、杉山文野さんなどの著名な方に来ていただくこともあり皆の理解度があがっていると思います。当社には社内SNSがあるのですが、社員がLGBTの話題を活発に書き込んでいます。また、この施策をきっかけに当社を知り、採用に応募してくださる人もいます。ほかにも、当事者の方がブログに「勇気をもってコンタクトセンターに電話をしたら受け答えに安心して背中を押してもらえた」ということを書いて下さって、今までやってきたことが間違っていなかったのだなと感じます。
  • のぶゑ
  • たしかに当事者にとってカミングアウトのハードルは高いです。たとえ企業の制度として用意されていたとしても、電話対応のオペレーターの方にまでその理念が伝わっていることは大切ですね。
  • 益井
  • ありがとうございます。加えて、保険業界全体が変わってきたことはすごく嬉しいことです。当事者に配慮をした記載をする保険会社や、当社と同じような施策を行うところも増えてきました。一方で、宝塚大学の日高先生に委託しているLGBT当事者の意識調査では、まだまだ生きづらさを感じている当事者が多いことがわかったので、これからも課題に寄り添っていければと思います。
  • のぶゑ
  • さて、これまでライフネット生命は九州レインボープライドにどう関わってきましたか。
  • 益井
  • これまで九州レインボープライドでは「レインボーフォトプロジェクト」を行ってきました。これは2016年の東京レインボープライドから始めた当社独自の支援活動です。来場された方にフォトブースで記念写真をとってもらうたびに、ひとりあたり100円を当社が積み立てて、その基金をもとに全国の図書館や学校に当社の事例が紹介されているLGBT関連児童書「もっと知りたい!話したい!セクシュアルマイノリティ ありのままのきみがいい」(日高庸晴著)の寄付をして教育支援を行っています。

  • のぶゑ
  • 九州レインボープライドを通じて子どもたちの教育支援に関わっているというのがうれしいです。この児童書は大人にも読んでもらいたいものだと思います。個人的な意見を聞いてみたいのですが、入社してLGBT施策に触れるようになり、2人がいま気を付けていることはありますか。
  • 山田
  • 僕は属性によるイメージや決めつけをもたない、押しつけないようにしています。例えば女性だからこうだと決めつけないなど。自分の意識していない部分で傷つけることがあるかもしれないと意識するようにしています。
  • 益井
  • 私は自分では偏見がないと思っていたことも、かけられた言葉がその人にとっては傷つく言葉だったということを知りました。たとえば、「ふつう」という言葉はすごく使い方が難しいと思いました。
  • のぶゑ
  • お二人とも既成概念にとらわれず、その人自身を見ようとしていることが素晴らしいと思います。社員が160人もいると組織が分断されがちですが、みんながライフネット生命の理念を意識しあっていることにうれしく思います。
  • 益井
  • ありがとうございます。逆に質問ですが、のぶゑさんは当社の活動をどう見られていて、今後期待することはありますか?
  • のぶゑ
  • 同性パートナーが生命保険の保険金受取人になれるようになったという衝撃はいまも忘れられないことです。いま僕は43才でパートナーと一緒に過ごしていますが、人生を考えるときに生命保険は外せないので、この活動はとても意義のある事だと思います。創業者の出口さんの教えが今も会社に浸透して、この理念がいろいろなところに受け継がれているのだと感じます。今後もダイバーシティに寄り添ってひとりひとりのお客様や社員を大事にしていく姿勢を続けてもらいたいです。
  • 益井&山田
  • ありがとうございます。
  • のぶゑ
  • 最後に、ライフネット生命の今後の活動予定はありますか
  • 益井
  • これまで行ってきたことを継続し、多くの方に当社の活動やサービスを知っていただき、お客さま1人ひとりの人生を応援していきたいと思います。マニフェストに「私たちは、お客さまの声に耳を傾け、お客さまに何が必要かを常に考え行動する。」という言葉がありますが、それを体現してサービスの改善なども今後もやっていきたいです。5年前にはじまった小さなことの積み重ねがどんなマイノリティも尊重されるような未来につながることを信じて活動をしていきたいです。

(文:ライフネット生命)