全ての人に「快適な住環境の提供」をしたい。
これが当社の基本姿勢。
登場人物紹介
●松本 茂規/(株)三好不動産 執行役員
●原 麻衣/(株)三好不動産 七隈線エリア統括 統括店長
●三浦 暢久(あなたののぶゑ)/九州レインボープライド 実行委員会代表
(画面左:松本 / 右:のぶゑ / 下:原)
- のぶゑ
- 今日は改めて、この5年間を振り返り、今年の意気込みなども語っていただけたらと思いますので、よろしくお願いします~。
- 松本、原
- はい!よろしくお願いします。
- のぶゑ
- まず最初に会社紹介をお願いします。
- 松本
- 三好不動産は今年で70周年を迎えます。これを転機として今色々なことを取り組んでいます。不動産業界と聞くと、みなさんがよく知ってるのは賃貸仲介、売買仲介だと思います。実は当社の始まりは不動産の建物管理なんです。そしてこの管理をビジネス化した全国で一番最初の会社が三好不動産なんです。今は約38,000戸を管理させていただいてますが、この数はお客様からの信頼の証だと思っています。福岡市の民間の賃貸住宅戸数は約38万なので、8~9%はシェアをいただいていると考えると、誇れる数字だと思います。外国人採用は業界の中では早めにスタートしましたし、外国人の入居の仕組みも構築したり、SDGsも福岡の不動産会社の中では一番最初に宣言しました。そういった企業姿勢で取り組んでいる不動産会社です。
- のぶゑ
- 先進的なものを取り入れていく姿勢がすごく感じられますね。その中の一環として九州レインボープライドへの参加やLGBTへの取り組みを積極的に実施いただいてますけど、これまでの感想を聞かせてもらえたら嬉しいです。
- 松本
- 当時LGBTという言葉も知らない中で、色々なことをさせていただきました。メディアや雑誌を通して知るだけではなく、直接、LGBTの取り組みをすることで、本当にその人たちの考えや困ってることが分かるようになり、直接聞くことができるようになりましたね。快適な住環境を提供することが我々の使命であり、それをベースに仕事をさせていただいていますので、ニーズにあったサービスを提供することは当然であるべきだと思います。また、LGBTの課題は、社会課題として大事なのですが、固すぎるとなかなか身近に感じないので、パレードのように楽しくやれたらいいと思います。パレードや社内研修を通して、社内に浸透していることをここ5年で強く感じています。
- のぶゑ
- 素晴らしいですね。現場の第一線で一生懸命頑張って下さっている原さんはいかがでしょうか?
- 原
- 約5年を通じて、社員がすごく変わってきたと感じます。1回目の参加は5人ぐらいでしたが、毎年参加するごとに社員の理解も深まっていき、実際に会場に来てくれる社員も増えました。実際、当事者と触れ合うことが出来て、私達LGBTの存在が当たり前になっていると思います。社内だけではなく、三好不動産が当事者に向けて取り組みを始めて4年半が経つんですけど、当事者と思われる方の利用も増えてきていますし、少しずつですが、みなさんのなかにも三好不動産の存在が浸透していることを感じています。
- 松本
- 社内においてもマインドが変わらないと行動は変わらないし、やり続けることでだんだん身についていくと思います。私は、酒造りの「醸成」という言葉が大好きなんですけど、だんだんとフレンドリーな雰囲気に出来上がっていくことに似ていると思っていて、よく使うのですが(笑)社内の醸成は割と進んでるんじゃないかなと思いますね。
- のぶゑ
- 数年かけて着実につくられてきた結果ですね。パレードのときに三好不動産の社員の皆様に「お世話になりました!」って声をかけられている姿が目に止まりました。お互いに手を振り合っている姿がすごく印象的で感動したんですよね。会社側と利用者側との信頼関係が保たれてる素晴らしい姿だなと思ったんですよね〜
- 原
- 実はそのエピソードは、最初に取り組みを始めた博多駅前店の社員なんですよ。その社員からも、「こういう嬉しいことがありました」って報告も上がってきましたね。
- のぶゑ
- そういう仕事ができていることは、素晴らしいですね〜。私が聞くのも変ですけど(笑)今は取り組みを始めて5年目になりますが、はじめはどんな感じでスタートしたのか、松本さん改めてお話いただけますか?
- 松本
- 会社の取り組みのスタートは LGBT研修をのぶゑさんにしていただくところからですね。取り組むと決定したらだいたい上層部からスタートするものですけど、賃貸営業に携る事業部で勉強会したんですよね。上層部よりもお部屋探しを実際に担当している社員に肌で感じて欲しかったので、これが結果的によかったと思っています。これによって会社としてきちんと取り組むべきことだと誰もが感じましたね。その後は社内の就業規則や福利厚生を見直していきました。意識が変わらないまま制度だけが決まってもなかなか浸透しないので、社内の雰囲気や法改正のタイミングを見て少しずつ行い、今やっと社内に必要な福利厚生・内規についてはスタートラインに立てたんじゃないかなと思います。

- のぶゑ
- 会社の取り組みのスタートは、一歩ずつ社員の雰囲気と社会の変化に合わせながら変えていったってことですね。では、実際に現場でスタートラインを切った原さんはこの約5年で何か感じていることはありますか?
- 原
- 社長とのぶゑさんが出会って、すぐに会社の全体研修で LGBTの勉強会がありました。そこでLGBTの基本的な話と、お部屋探しで実際に困っている方がいらっしゃるということを初めて知りました。それだけでなく、私自身も当事者でありながら自分もLGBTなんだっていうことを初めて知ったんですよね。
- のぶゑ
- あれね~!自分で知らなかったって私の方がびっくりしましたもん(笑)
- 原
- 社長とのぶゑさんが出会って、すぐに会社の全体研修で みんなの視線で「みんな気付いてるんだなー」って、私自身も気づきましたもんね(笑)自分でもびっくりしたのを覚えています(笑)。私は三好不動産のすべてのニーズに応えていくっていう社風がすごく好きで、外国の方や高齢の方の要望に逸早く応えていく会社の風土に、私自身、誇りに思っていました。そして今回のLGBTに関しては、私が適任だと感じ、手をあげました。当時の上司にその想いを伝えたら即答でOKでした(笑)すぐに取り組みの準備が始まりました。
- のぶゑ
- あのときは、社員の方から声が上がっていると聞いて私も驚きました。どちらかというと当事者って隠れて生きていることが多いので、会社で取り組みが始まったとしても当事者からそういう声が上がるっていうことはあまりないんですよ。普段から社員が発言をしやすい空気感を社内でつくられていたんだなと感じた瞬間でもありました。
- 松本
- 若い社員たちの意見が挙がることが経営的にもすごく良い影響になると考えています。今回の件についても、原の行動がきっかけで我々も色々な意見を直接聞くことができたと思うんです。原の行動がなかったら、ここまでうまくいかなかったかもしれませんね。
- 松本
- 若い社員たちの意見が挙がることが経営的にもすごく良い影響になると考えています。今回の件についても、原の行動がきっかけで我々も色々な意見を直接聞くことができたと思うんです。原の行動がなかったら、ここまでうまくいかなかったかもしれませんね。
- のぶゑ
- 社員から声が届くことは良いことですよね。そんな会社って世の中にどのくらいあるんでしょうかねw
LGBTの取り組みを始めて、社員の意識や行動が変わったと感じることがあれば、具体的にお聞きしてもいいですか。 - 松本
- お客様のお話をよく聞くようになり、多様な意見を取り入れるようになったと思います。当社のロゴでもある「親子ゾウのマーク」ですが、大きな耳はお客様の声をちゃんと聞くようにって意味なので、三好不動産らしさがうまく重なり合っていってると感じています。
- のぶゑ
- LGBTのことがきっかけになって、色々な方のことを尊重できる雰囲気づくりができたということですね。
- 松本
- そう思います。普段何気なくつかっていた言葉も、この言葉が誰かを傷つけるんじゃないかって考えるようになりました。言い方一つで信頼を得られると思うので、適切な知識を身につける雰囲気が少しずつ出来上がってきていると思います。
- のぶゑ
- 原さんからみて実際の現場ってどうですか?その変化って感じますか?
- 原
- 上司や社員の変化をすごく感じています。社歴3~4年目ぐらいの社員達が、当事者らしきお客様が来られたときに自然に接客できるようになってると連絡をもらうことが増えました。今までもおそらく来られていたけど気づかなかっただけで、研修などを受けて、適切な知識を得ることで見る視点が変わり、気付けるようになったのだと思います。(※三好不動産ではセクシュアリティの確認などを不必要に行わないようにしています)あと、社員間でのプラベートな話をするときにも、「男性だったら、女性だったら」っていうステレオタイプな感じではなく、性別を感じさせないような発言に変わってきましたね(笑)今まで言えなかったことが可能になって、すごいと思っています。
- のぶゑ
- 女性だからといって男性が好きとは限らない、そのベースで話が展開されるってことですね。素晴らしいじゃないですか!
- 原
- はい。それにヒアリング能力も間違いなく上がっていて、その結果成約率向上につながっていると思います。
- のぶゑ
- LGBTのお客様がきっかけかもしれないけど、結果として全てのお客様に対して察する力が強くなれば、成約率も必然的に上がりますよね。去年の九州レインボープライドではレインボースポンサーというメインスポンサーに入っていただいて、パレードも社員130人と沢山の方に参加していただきました。これも続けてきた結果だと思うんですが、当日を迎えるまでのエピソードはありますか?
- 松本
- 基本的には自由参加なのですが、はじめは、社員としての義務感できてしまうんではないかと思うこともありましたが、お子さんと来てくれたり、ペインティングして楽しんでいる姿をみて嬉しかったですね。最近は「今年はパレードやらないんですか?」って社員から聞かれたりして、そんな話が日常に出るようになりました。こんな風にみんなが普通に感じてくれたらいいと思いますね。
- のぶゑ
- 私はあの130名の中にが子ども連れや家族で、参加されている状態をみて本当に素晴らしいと思いました。原さんは当日いかがでしたか?
- 原
- 正直本当に集まるか不安でしたね。私がいる賃貸の部署は土日も営業日なので、ほとんどの社員は来れないんですけど、「行きたかったんです!」という声は多くもらいました。そんな中、それでもお客様のご案内の帰りに寄ってくれたりして、社員がどんどん集まって楽しそうにしてる姿がすごく嬉しくて涙が出そうになりました。それに会場には社長をはじめとする幹部の方々も来ていて、社員が楽しんでもらえるように色々考えてくれてる姿も胸が熱くなりましたね。私の家族も来ていて、母から「毎年参加しているけど、どんどんみんなの顔が明るくなってるね」って言葉を聞いて毎年の変化を実感できたことと、母がその変化を感じるようになっていることがすごく嬉しかったです。
- のぶゑ
- 社内で一生懸命、醸成して取り組みを進めているからこそ、社員に浸透していくのを実感していますし、その結果が前回のパレード130名という結果だと思います。今年10月から、パートナーシップ制度を会社で使えるようになったとお伺いしました、詳しくお話をお願いできますか?
- 松本
- 10月の改定のときに、社内の配偶者手当もパートナーシップ制度を使用した人は対象になることなどを明記しました。元々の社内規定を変えたわけではなく、パートナーシップ制度申請者も対象に拡充したという感じです。先ほど少し申し上げた通り、少しずつ段階を踏まないといけないこともあったので、今回の10月1日にやっとそれができて良かったと感じています。こういう対応をしていくことが社内にとって当たり前になっているから、社員に余計な説明も要らなかったですね。
- のぶゑ
- 今の三好不動産では自然に広がって浸透していく雰囲気が既に出来上がっているということですね。みんなが当たり前に理解を示し、誰もが制度を使える環境は当事者にとってすごく心強いと思います。
- 松本
- 本人たちはまだ公に言って欲しくないという希望もあると思うので、上司ではなく総務に直接申請ができる仕組みになっています。
- のぶゑ
- 素晴らしい配慮だと思います。例えどんな環境になったとしても、言いたくない方、言えない方は必ずいるわけですので、今回の配慮はとても重要だと思います。
- 松本
- 実は社員の方から「これは総務直の申請にした方がいいですよね」って言ってきたんですよ。こういう配慮ができる社員がいることって素晴らしいと思いませんか。
- のぶゑ
- それは凄いです!社員の方からそういう提案がくることは、発言しやすい環境もありますが、社員が当事者が不安に思っていることを理解している証拠ですね。原さんはこの制度ができたことへの思いや、社員からの声があったりしますか?
- 原
- ありましたね。最初はカミングアウトしないと申請ができないんじゃないかって私も他の社員も思ってました。他にも個人情報はどうなっているのか不安だという声もありました。それと私の個人的なツイッターで三好不動産もパートナーシップ制度を導入したっていうツイートをしたら想像以上の良い反応があって、社員だけでなく私の周りの当事者もかなり良い反応していたと思います。
- のぶゑ
- ちゃんと浸透すれば社員も使いやすくなるし、少しずつ醸成されて当たり前に使えるようになっていくといいですね。今年からの新しいビジョンとして、『ALL FOR FAMILY』というテーマに変わったと聞いています。このビジョンについて教えていただけますか。
- 松本
- 取引先も社員も含めて、みんな家族ということです。関係者みんなが家族という考え方で物事を捉えていけば、良い方向に行くだろうと、10月1日に社員全員に対して発表しました。これからのファミリーは自分の家族はもちろん、会社の同僚・先輩後輩・お客様もみんな家族なのだと、まさに企業姿勢だと感じています。
- のぶゑ
- 『ALL FOR FAMILY』の話しを聞いた時に、まさしく今まで三好不動産がやってきたことが具現化された言葉だなって思いました。この言葉を聞いて原さんはどうですか?
- 原
- 私も今までやってきたことがただ言葉になっただけだと感じますね。今の時代にこの言葉って、すごく大切だと思うんです。何かこうちょっと忘れがちなところだったりするので、改めてこの言葉の意味を大事に考え行動していきたいと思います。
- のぶゑ
- そうやって今年70周年を迎えらえたわけですよね。最後になりますが、これから三好不動産はどんな会社になってほしいと思いますか?
- 松本
- 続くことってとても大事で、続くためには『ALL FOR FAMILY』というマインドはとても大事ですが、利益を出していくためには本業の不動産業はしっかりやらないといけない。そのためには学び続けないといけないと思っています。学び続ける勤勉な姿勢があって、そこにマインドが加わって良い会社になるんじゃないかと思うし、そういう会社になればいいなと思っています。これは最近社長が社員に言ってるいることと、私が考えてることが一緒だったんで非常に嬉しかったです。
- のぶゑ
- ありがとうございます。では、原さんの立場から会社に対する思いや、自分がどんな風になりたいのかも含めてお話いただけますか?
- 原
- LGBTの取り組みも最初は博多駅前店だけだったんですけど、昨年10月から全店舗対応になりました。だからどこの店舗でもLGBTの方が安心してご利用できる環境ができています。そして今は売買や保険、相続等の相談ができるようにもなってきているので、不動産のことはとにかく一度、三好不動産に相談したら解決してくれるっていう位置づけになりたいと思っています。デジタル化が進む中で、当社もどんどんAIが導入されてこの1年ですごく社内環境が変わってきたんですけど、機械にはできない察することや人だからできる気配りとか絶対に大事だと思うんですよ。地域密着型の姿勢はこれからも強化していきたいです。お客様がなんでも相談できる信頼される店舗・会社になるためにも顧客満足度を徹底的に追求して、これを三好不動産の強みとして、たくさんの方に喜んでいただける企業でありたいし、それを実現できる人になりたいです。
- のぶゑ
- ありがとうございました。「みんなが家族だよ」ということを表す『ALL FOR FAMILY』という言葉は、改めて三好不動産の企業姿勢を単純明快に表してる言葉だと感じました。LGBTという分野で関わらせていただいていることがすごくありがたいなぁと改めて実感しましたし、これから先もよろしくお願いいたします!